名古屋市保健所に入庁したきっかけは?

もともと学生のころから公衆衛生に興味がありました。臨床研修2年目の春に名古屋市の保健所に見学に行き、研修修了後の進路を決めるときに名古屋市入職を決めました。

 

公衆衛生を志したきっかけは?

高校時代から政治経済の科目が好きで、行政を動かす仕事がしてみたい、という思いはありました。医学部に入学して、そこではじめて公衆衛生という分野を知りました。大学2年生のときに衛生学教室の研究に参加しましたが、そこで素晴らしい指導教官に恵まれ、その頃から公衆衛生への思いが強くなりました。

 

名古屋市公衆衛生医師以外の道は考えられましたか?

厚労省医系技官の1泊2日のセミナーに参加し、技官という仕事がとてもやりがいのあるものだと感じた反面、とてもハードで長く続けるのは厳しいとも感じました。自分にとって、無理なく仕事を継続でき、自分の時間も大切にできることが仕事を選ぶうえでのポイントだと分かり、現在の選択に繋がっていると思います。

 

女性職員と会話する滝医師

名古屋市に勤められてみて、名古屋市保健所の特長や強みは?

政令市である名古屋市は、市町村業務と県型保健所業務、どちらの業務もできる点で面白さを感じています。毎月開催される「医師研究会」では、名古屋市の公衆衛生の先生方にお会いでき、悩みなどを相談することができます。20数名の先生方が月に一度は集まって、意見を交換できるこの環境は、自分以外の医師が身近にいることが感じられるので、名古屋市の強みだと感じています。

また、ワークライフバランスの観点では、定時で帰宅でき、休暇も取りやすく自分の時間が十分にとれることも魅力のひとつです。

 

名古屋市では、滝医師が入られた年から新規採用医師が配属先以外の保健所にも派遣される形の研修が始まりました。1年間の研修を受けられて感想はいかがでしたか?

私は中保健所に配属され、研修では南保健所に派遣されました。結核ひとつをとっても、南区では高齢者世帯が多いことからご高齢の方の発症が多かったり、中区では比較的若い人が発症したりと区の特色によって様々な事例があると学ぶことができ、大変有意義なものでした。また、一つの区だけでなく他区にまたがった研修ですので、他の先生と関わる機会ができ、疎外感なく職場になじむことができました。

 

保健所長と会話する滝医師

公衆衛生の面白さは?

臨床では、来院された患者さんの治療をすることが主な仕事です。公衆衛生分野では、今、健康な方にはずっと元気でいてもらえるように、今、病気の方にはこれ以上悪くならないように、あらゆる方に様々なアプローチで携わっていくことができます。市民の皆様の健康を守るために「先手が打てる」ことが面白さだと思っています。

 

若いドクターにメッセージをお願いします。

公衆衛生の分野は決してメジャーなものとはいえませんが、実際に仕事としてやってみると「楽しさ」や「やりがい」を感じていただけると思います。医師として、行政に携わる経験はなかなかできません。臨床以外にも「公衆衛生」という選択肢があることをぜひ知ってください。そして、少しでも興味があるならば、一度公衆衛生の分野に飛び込んでみてください!

※平成30年4月1日より各区の保健所は「保健センター」となりました。
このインタビューは平成29年8月に実施したものです。